労働保険

仕事中のけが、事故にキホンの備え

労働保険とは、労災保険と雇用保険を総称した言葉です。業務上のケガや失業など、職業生活上のリスクに対して働く人やその家族を守る、国のセーフティーネットです。

個人・法人を問わず、労働者を一人でも雇っている会社(経営者)は業種や規模にかかわらず加入手続きをしなければなりません。 ※農林水産業の一部を除きます。

  • 労働保険
  • 労災保険
  • 雇用保険

労災保険

  • 保険給付の内容

    労働者が、仕事が原因でケガをしたり、病気にかかったりしたときに、必要な治療や休業中の賃金補償などを行うものです。障害が残った場合は本人に、不幸にも労働者本人が亡くなった場合はその遺族に対して年金や一時金が支給されます。
    通勤途中の事故などにも、保険給付が行われます。

  • 対象者

    正社員や契約社員の他、短時間勤務のパートタイマー、アルバイトを含め、すべての労働者が対象となります。

  • 保険料

    事業の種類によって料率が定められて、建設事業の場合は元請金額、製造業は賃金総額を算出基礎として計算されます。

建設業の労災保険の仕組み

建設業においての労災保険の場合、現場での個々の下請業者は独立した事業と取り扱わず、元請業者・下請業者・孫請業者を一つの事業体として取り扱われます。ですので、現場での事故や現場へ通勤中の事故が起きた場合、元請・下請・孫請に使用される全ての労働者は元請業者の労災で補償されます。(健康保険・雇用保険は直接労働者として使用する会社での手続きが必要です。)

注意点

労災保険は、労働者の業務上・通勤途上の災害に対応するものであり、労働者とみなされない個々の事業主や一人親方は元請業者の労災の範囲ではありませんので、一人親方の特別加入や中小事業主の特別加入の必要があります。

 

建設業の労災保険の仕組み図
  • 元請

    元請事業主特別加入者と、この事業にかかる事業所に雇用されている労働者であるため、すべて元請の労災で治療します。

  • 下請孫請一人

    労働者ではない(請負契約によるもの。いわゆる外注や手間請の事業主等も含む)ため、すべて自分で加入する特別加入労災で治療します。

中小事業主の労災保険 ※建築の場合は、事業の種類によって料率が定められています。
請負金額 保険料
500万円 10,925円
1,000万円 21,850円
3,000万円 65,550円
給付基礎日額 建築 土工
5,000円 17,337円 27,375円
8,000円 27,740円 43,800円
10,000円 34,675円 54,750円
一人親方の労災保険料
給付基礎日額 年間保険料 休業補償
5,000円 33,850円 1日 4,000円
7,000円 46,990円 1日 5,600円
10,000円 66,700円 1日 8,000円

雇用保険

  • 保険給付の内容

    労働者が失業したり、職業訓練を受ける場合に手当を支給したり、育児や介護による休業中の賃金補償等を行うものです。

  • 対象者

    1週間の所定労働時間が20時間以上であること。
    31日以上の雇用見込みがあること。
    このいずれかの要件を満たさない場合は、被保険者となりません。

  • 保険料

    労働者に支払う賃金総額を算出基礎として計算され、事業主・労働者それぞれが負担します。

被保険者に関する具体例

  • 短時間労働者
    (パートタイマー)
    派遣労働者

    正社員等の者と同じく、1週間の所定労働時間が20時間以上であり、31日以上の雇用見込みがあること。

  • 法人の取締役等

    法人の役員は原則として被保険者となりません。しかし、就労実態や、給与支払いなどの面からみて労働者性が強く、雇用関係が明確に存在している限り被保険者となる場合もあります。

    ×

  • 試験期間中の者

    本採用決定前でも、雇用関係が存在し、適用要件を満たした就労であれば被保険者となります。

  • 事業主と同居の親族

    原則として被保険者となりませんが、事業主の指揮命令に従い、他の労働者と就業実態や賃金体系が同じで、事業主と利益を−にする地位にいないことを条件に被保険者となる場合があります。

    ×

保険料の料率

負担者 事業の種類 労働者
負担
事業主
負担
雇用保険
料率
建設の事業 7/1000 11.5/1000 18.5/1000

保険料の計算方法 ※労働者に支払う賃金が毎月20万円の場合

一般保険料(年額)
2,400,000×18.5÷1,000=44,400

労働者負担分(月額)
200,000×7÷1,000=1,400

 

となり、労働者から毎月1,400円を給与から引き、事業所として44,400円を納めます。

別途、確定保険料により、手数料が発生します。